企業分析 財務諸表分析

【0からスタート!】決算書を読むためのノウハウ大全

「決算書を読めるようになりたい」

「会計知識を身に付けたい」

「財務分析できるようになりたい」

 

英語・会計・ITは3大スキルと言われています。

しかし、会計を身に付け、決算書を自分で読み、欲しい情報をとれるようになるにはそれなりの時間を要します。

そこで、今回は会計に関する仕事を10年以上やってきた私が、知りたかった決算書を読むためのノウハウをまとめました。

この教材で学習してもらうことで、あなたは以下のことが可能になります。

 

 

この教材を買うことで得られること

・日本やアメリカの上場企業の決算書を素早く見つけることが可能になります。

・決算書(有価証券報告書)に記載されている内容を理解することができます。

・必要十分な財務分析ができるようになります。

・決算書を使って必要な情報を得るノウハウを獲得できます。

・実際の決算書を使った決算書の分析例を知ることができます。

 

「財務諸表の見方」や「財務分析の方法」について詳しく記載されている書籍はたくさんありますが、

「決算書はどこで見ることができるのか」、「決算書を使ってどのように情報を得るのか」といったことが記載されている書籍はほとんどありません。

 

そのため、このような一気通貫した教材をつくることに至ったのです。

この教材で学習することで、あなたの会計力が格段に上がります。

 

では始めていきましょう。

 

目次

Webで開示されている決算書の見つけ方

会社分析をしようと思って決算書を見ようとしたとき、どこから情報をとってきますか?

基本的に、「会社名 + ir(※)」で検索できますが、

(※irは Investor Relations:インベスター・リレーションズ)。企業が株主や投資家向けに経営状態や財務状況、業績の実績・今後の見通しなどを広報するための活動)

上場企業であれば、専用サイトがありますので、その使い方を紹介します。

 

日本の場合:EDINET(エディネット)

日本の上場企業の場合は、EDINET(エディネット)から決算書を検索することができます。

例として、トヨタ自動車の決算書を見てみましょう。

①EDINETにアクセス

Google検索で「EDINET」を検索して、https://disclosure.edinet-fsa.go.jp

へ進みましょう。

②書類検索をクリックします

 

③「提出者/発行者/ファンド/」に会社名を入力し、検索をクリックします

今回は「トヨタ自動車」と入力します。

④見たい書類を選択します(有価証券報告書 or 四半期報告書)

今回は有価証券報告書をクリックします。

 

⑤書類をみる

見ることができました。

 

アメリカの場合:EDGAR(エドガー)

アメリカの上場企業の場合は、EDGAR(エドガー)から決算書を検索することができます。

例として、Apple(アップル)の決算書を見てみましょう。

①EDGAR(エドガー)にアクセス

Google検索で「EDGAR」を検索して、https://www.sec.gov/edgar.shtml

へ進みましょう。

 

②画面上部の検索窓(「Search SEC.gov」)に調べたい会社名を入力します

今回は「Apple」と入力します

 

③検索したい会社名をクリックします。

今回は一番上の「Apple(AAPL)Filling on EDGAR」をクリックします。

④見たい書類を選択します(有価証券報告書 or 四半期報告書)

年次報告書(日本でいう有価証券報告書)であれば 「10-K」、四半期報告書であれば、「10-Q」を選択します。

今回は年次報告書を見ます。

Fillingsの列から「10-K」をみつけ(検索が可能)、Formatの列の「Documents」をクリックします。

 

 

⑤書類を選択する

Description列が「10-K」となっている行の「Document」のリンク先をクリックして書類を見ましょう。

 

⑥書類をみる

書類をみることができました。

ビジネスの概要を知りたい場合は、「Item1. Business」を読むとよいです。

また、財務数値は「Item8.  Financial Statements and Supplementary Data」で確認できます。

 

 

 

有価証券報告書には何が書かれているの?

 

有価証券報告書とは

有価証券報告書とは、金融商品取引法で規定されている書類で、事業年度ごとに作成する企業内容の外部への開示資料です。

上場企業は必ず作成しており、略して有報(ゆうほう)と呼ばれます。

有価証券報告書は、金融商品取引法第24条によって、事業年度終了後3カ月以内に内閣総理大臣へ書類を提出することが義務となっています。

たとえば、3月決算の企業であれば、6月末までに報告書を提出する必要があります。

 

有価証券報告書の記載内容

有価証券報告書の記載内容をまとめると以下になります。

以下では、内容の多い第一部【企業情報】の各項目(第1【企業の概況】~第5【経理の状況】)について詳細を見ていきます。

第1【企業の概況】

【企業の概況】では、企業グループの基本的な情報を把握することができます。

・主要な経営指標等の推移:最近5会計年度に係る主要な経営指標等の推移について記載されています。

・沿革:設立日から今までの会社の歴史が簡潔に記載されています。

・事業の内容:会社の主な事業内容について記載されています。

・関係会社の状況:企業グループを構成する会社の状況(名称、住所、主要な事業の内容等)が記載されています。

・従業員の状況:事業ごとの従業員の平均年齢、平均勤続年数及び平均年間給与(賞与含む)について記載されています。

 

第2【事業の状況】

【事業の状況】では、業績の概要や事業等のリスクを把握することができます。

・業績等の概要:事業ごとの業績の状況について、前期と比較する形で記載されています。

・生産、受注及び販売の状況:事業ごとの生産、受注及び販売の状況について、前期と比較する形で記載されています。

・対処すべき課題:事業上及び財務上の対処すべき課題について、その内容、対処方法等が具体的に記載されています。

・事業等のリスク:投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項が具体的に記載されています。

・経営上の重要な契約等:合併や事業譲渡等の経営上の重要な契約が締結されている場合に、その概要が記載されています。

・研究開発活動:事業ごとの研究開発活動の状況及び研究開発費の金額が記載されています。

・財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析:投資者が適切な判断を行うことができるよう、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関する分析・検討内容が記載されています。

 

第3【設備の状況】

【設備の状況】では、設備投資や主要な設備の状況を把握することができます。

・設備投資等の概要:事業ごとに「設備投資の目的や内容及び投資金額」、「重要な設備の除却・売却等があった場合には、その内容及び金額」が記載されています。

・主要な設備等の状況:自社、国内子会社、在外子会社ごとに会社名、事業所名、所在地、設備の内容、設備の種類別の帳簿金額及び従業員数が記載されています。

・設備の新設、除却等の計画:重要な設備の新設、拡充、改修、除却、売却等の計画がある場合には、事業ごとにその内容(設備の内容、投資予定金額等)が記載されています。

 

第4【提出会社の状況】

【提出会社の状況】から、株式・役員・ガバナンスの状況を理解することができます。

・株式等の状況:会社の株式に関する各種情報(大株主の状況、所有者別状況、株式の総数等)が記載されています。

・自己株式の取得等の状況:自己株式の取得等の状況について、自己株式の取得の事由及び株式の種類ごとに記載されています。

・配当政策:配当の基本方針、配当の決定機関、配当決定に当たっての考え方及び内部留保資金の使途について記載されています。

・株価等の推移:最近5年間の事業年度別最高・最低株価や最近6月間の月別最高・最低株価が記載されています。

・役員の状況:役員ごとの氏名・役職・生年月日・略歴等が記載されています。

・コーポレート・ガバナンスの状況等:企業統治の観点から、業務執行者に対するモニタリングやコントロールをどのように行っているかについて記載されています。また、外部監査人に対する監査報酬についても記載されています。

 

第5【経理の状況】

財務諸表(連結・単体)が記載されています。

 

・貸借対照表

・損益計算書

・包括利益計算書

・株主資本等変動計算書

・キャッシュ・フロー計算書

・注記

 

財務諸表の項目を理解しよう

この項目では、財務諸表(貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書)の項目を解説していきます。

まずは、貸借対照表から行きましょう。

 

貸借対照表

 

流動資産

会社の決算書の貸借対照表を見ると、流動資産って項目ありますよね?

ここの項目です。

実は、資産には「流動資産」と「固定資産」という区分があって、以下のルールで分けられています。

(これは負債項目についても当てはまります)

①正常営業循環基準:営業のサイクルである商品の仕入から売上に至る流れの中にある項目を「流動資産」や「流動負債」と考えるものです。

②1年基準(ワンイヤールール):決算日の翌日から起算して1年以内に決済される資産あるいは、負債を「流動資産」と「流動負債」と考えるものです。それ以外は、「固定資産」と「固定負債」と考えます。

 

実務上は、まず、①正常営業循環基準を適用し、この基準で判断できなかったものにさらに②1年基準を適用し、「流動」と「固定」の項目を分けます。
図解するとこんな感じです。

ですので、流動資産には以下の2つの項目が含まれることになります。

■営業サイクルにある資産(売掛金・棚卸資産等)

■1年以内に決算される資産(仮払金、前払費用等)

流動資産に含まれる各項目については、以下で解説していきますね。

 

流動資産ー現金及び現金同等物

実際の決算書を見ると、「現金及び現金同等物」として貸借対照表に開示されています。

 

これは、現金と預金と思っていただいてほぼ問題ないです。

(実際にはコマーシャルペーパーや売戻し条件付現先、公社債投資信託も含まれますが、一般企業の実務ではあまり登場しないので省略します)

預金にはいろいろ種類がありますので、以下では預金について解説します。

 

①当座預金

手形や小切手の支払いに使われる預金のことで、 法律(臨時金利調整法)により利息を付けることが禁じられています。

1日の限度額にも制限がないので、多額の取引を行う場合には、非常に使い勝手が良いと言えます。

当座預金は「決済用預金」に該当するため、万一銀行が破綻しても預金保険制度によって、利息がつく預金とは別に全額保護されます。

「不渡り」(銀行口座の残高が不足し、決済できなかった)を2回出すと、銀行との取引ができなくなり、事実上の倒産となります。
(2回不渡りを出すと、銀行との取引ができなくなるというルールがあるので)

当座預金を開設するためには、金融機関の審査をクリアしなくてはならず、個人の場合は難しいです。

当座預金を所持していることで信用のおける企業という印象を与えることができます。

 

②普通預金

個人・法人を問わず開設することができ、給与受け取りや決済口座として使われています

ペイオフ制度(金融機関が経営破綻した場合に、預金保険機構によって預金者への払い戻しを保証する制度)により、金融機関が破綻した時に1000万円までしか保護されない場合があります。

 

③定期預金

前もって銀行へ預け入れた金額を一定期間引き出すことができない預金のことです。

各銀行により預け入れ期間が設定されており、多くの場合1か月~10年ほどです。

銀行によっては預け入れが数日という商品もあります。

 

④通知預金

資金を短期間だけ預けるときに利用される預金のことです。

引出しは、通常、預入後最低7日間は据え置く必要がありますが、引出すときには少なくとも2日前には通知することになっています。

払出しは、原則として解約時に一括して払戻します。用途としては、近い将来にその資金を引出すことが決まっていて、その時期まで資金を運用したいときに使います。

企業が土地代金や売上代金などまとまった資金を、運用期間が決まるまでしばらくの間だけ預けておくときに使うことがあります。

 

⑤別段預金

銀行業務に該当しない預金を受入れた際に、一時的にお金を保管しておくための便宜上の預金のことです。

たとえば、株式払込金、歳入金、寄付金、内国為替の送金資金などの、他の預金科目での取り扱いが適当でないものは、別段預金として処理されます。

 

 

流動資産ー営業債権

営業債権には主に、①受取手形、②売掛金、③電子記録債権、④貸倒引当金が含まれています。
以下それぞれについて解説していきますね。

 

①受取手形(うけとりてがた)

ビジネスにおける取引先への決済方法には、即日現金払い以外に一定期間支払いを延長する方法があります。

そのひとつに商業手形を振り出すという支払方法があります。

商業手形を受け取った場合、その手形を受取手形と呼びます。

受取手形は、通常、決済期日が60日先、90日先等に指定されており、売掛金より資金回収までの期間が長いという特徴があります。

 

②売掛金(うりかけきん)

売掛金とは、商品を売り上げたときに、後日その代金を受け取れる権利のことです。

会社同士の取引では継続的な取引になることが多く、その都度人件費や手数料をさいて代金を支払っていては、無駄な費用がかかってしまいます。

そこで、後日まとめて代金を支払う約束をし、取引の効率化を図ったのが売掛金です。

 

③電子記録債権(でんし きろく さいけん)

電子記録債権とは、従来の売掛金や受取手形とは異なり、電子的に記録されることによって発生する新しい金銭債権のことです。

受取手形では、手形を振り出す時には、銀行が交付する指定の用紙に必要事項を記入し、その紙をやりとりしていました。

しかし、電子記録債権では、取引によって電子記録債権が発生したことを電子債権記録機関(※)に知らせ、記録原簿に記録することによって債権が発生します。

(※)電子債権記録機関は、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行、全国銀行協会の4つの機関が電子債権記録機関としての認可を受け、それぞれが電子記録債権の取り扱いを始めました。

 

④貸倒引当金(かしだおれ ひきあてきん)

まず、貸倒れとは、得意先から売掛金や受取手形の代金が受け取れなくなってしまうことです。

売掛金や受取手形の代金が受け取れなくなってしまうパターンとしては、
・得意先の倒産
・倒産はしていないけど、何らかの事情でお金を払えない  などがあります。

こういった貸倒れはビジネス上一定の確率で起こりうると考えられるので、会社は決算時に、将来貸倒れる可能性がある売掛金や受取手形がどのくらいあるかを見積もって準備します。

これを貸倒引当金として計上します。

貸借対照表では、資産のマイナス項目として(△貸倒引当金)のように表示されます。

 

 

流動資産ー棚卸資産

 

棚卸資産は「在庫(ざいこ)」とも呼んだりしますが、同じものを示していると考えていただいて大丈夫です。

棚卸資産は主に、①原材料、②仕掛品(しかかりひん)、③半製品、④製品、⑤商品、⑥貯蔵品に分けられます。

以下それぞれについて解説していきますね。

 

①原材料

原材料とは、製造するために仕入れた原料や材料のことを指します。

 

②仕掛品(しかかりひん)

仕掛品とは、自社で製造して未完成の状態で販売できない状態のものをいいます。

 

③半製品

半製品とは、自社で製造して未完成の状態なんだけど販売できる状態のものをいいます。

例えば、液晶テレビ製造における「ディスプレイパネル」、化学薬品の合成過程(中間製品)における「薬品」などが該当します。

 

④製品

製品とは、自社で製造して完成品として販売できる状態のものをいいます。

例えば、家電メーカーで掃除機を製造している場合、その完成した掃除機は製品に区分されます。

 

⑤商品

商品とは、外部から購入してきたもので、加工せずにそのまま販売できるもののことです。

例えば、スーパーがお菓子を仕入れた場合、そのお菓子は加工せずにそのまま販売できるので商品に区分されます。

 

⑥貯蔵品

事務用消耗品や消耗工具、燃料などでまだ使っていないものをいいます。

 

①原材料、②仕掛品、③半製品、④製品、⑤商品、⑥貯蔵品をまとめると以下のようになります。

 

 

流動資産ーその他の流動資産

「その他の流動資産」というぐらいですので、雑多な項目が含まれています。

「その他の流動資産」に含まれるかどうかはその項目の重要性に依存します。基本的に金額が小さい項目について「その他の流動資産」としてまとめて開示されます。

詳細は財務諸表等規則や会社法計算規則を確認することになりますが、経理部の方や公認会計士でない場合には、そこまで気にしなくてもOKです。

ここでは、押さえておきたい代表的な項目について説明します。

 

①前渡金(まえわたしきん、ぜんときん)

前渡金とは、商品などを受け取る前に手付金や内金として払うお金を仕訳する際に使う勘定科目のことです。

例えば、商品の仕入代金100万円のうち、保証金的に事前に20万円wp支払う場合、この20万円が「前渡金」になります。

そして、実際に商品を仕入れた時点で前渡金20万円は、商品の仕入代金100万円に充当されることになります。

 

(仕訳例:商品の仕入代金100万円の内、保証金的に事前に20万円支払う場合)

前渡金 20万円  / 現預金 20万円

 

(仕訳例:商品(100万円)を仕入れた。その際、事前に支払った20万円を支払い代金に充当した)

仕入  100万円  / 現預金 80万円
_                                 / 前渡金 20万円

 

②未収入金(みしゅうにゅうきん)

商品や製品以外のものを売却などした場合に、その代金を後から受け取るときに使う勘定科目です。

本業の売上となる商品や製品の代金を後から受け取る場合には、「売掛金(うりかけきん)」を使います。

具体例として、車両や備品などの固定資産を売却した場合が挙げられます。

 

(仕訳例:2020年5月に備品10万円をA社に12万円で売却し、代金は2020年12月に受け取ることにした。)

■2020年5月の仕訳

未収入金  12万円  / 備品      10万円
_                                      / 固定資産売却益  2万円

■2020年12月の仕訳

現預金  12万円   / 未収入金    12万円

 

③前払費用(まえばらいひよう)

前払費用とは、一定の契約に従い、継続して役務の提供を受ける場合、いまだ提供されていない役務に対し支払われた対価の部分を言います。

これだけ言っても「は?」という感じだと思いますので、保険を例にとって考えてみましょう。

例:2020年12月1日に1年分の火災保険料を1,200万円払った。

火災保険料を支払ったのは決算期末から4ヶ月前のことです。そして保険契約ですので1年間に渡って「継続して」保障という役務の提供を受けることになります。

そのため、各場面での仕訳は以下の通りになります。

■2020年12月1日の仕訳

火災保険料  1,200万円  / 現預金      1,200万円

 

■2021年3月31日の仕訳

前払費用   800万円    / 火災保険料      800万円

 

④仮払金(かりばらいきん)

取引や営業活動で要する可能性のある金銭を支給したときに、経理上で処理するときに用いる勘定科目です。

用途が不明な金銭の支出を管理するために用います。決算時には「仮払金」が「0」であることが理想です。

 

仮払いの例

・買い出しにかかった費用

・概算払いの出張費(旅費、交通費)

 

⑤立替金(たてかえきん)

取引先や役員、従業員などが支払うべき金銭を、会社や事業主が一時的に立て替えた場合に、経理上で処理するときに用いる勘定科目です。

 

立替金の例

・役員や従業員の私的費用の支払

・取引先が負担すべき手数料

 

固定資産(非流動資産)

流動資産に続いては固定資産(非流動資産)に移りましょう。

会社の決算書の貸借対照表を見ると、固定資産って項目ありますよね?

ここの項目です。

 

固定資産には以下の項目が含まれることになります。

■決算に1年超要する資産(有形固定資産、無形固定資産、投資その他の資産)

固定資産に含まれる各項目については、以下で解説しますね。

 

固定資産(非流動資産)ー有形固定資産

有形固定資産とは、長期にわたって使用する資産で具体的な形があるものをいい、①減価償却資産(げんかしょうきゃくしさん)と②非減価償却資産(ひげんかしょうきゃくしさん)に分かれます。

 

①減価償却資産

減価償却を行う資産のことで、具体的には以下が該当します。

・建物

・構築物

・機械装置

・車両運搬具

・工具器具備品

ここで、「減価償却」って何?って思われた方がおられるかと思いますので、減価償却について説明します。

 

■減価償却とは?

減価償却とは、建物や機械装置などを購入した時、その購入代金を、購入した年に一度に経費とするのではなく、分割して少しずつ計上するルールのことをいいます。

「年月が経つことによって劣化したり性能が落ちたりしてその価値が減っていく固定資産は毎年一定額や一定の割合で、分割して費用にしましょう」というものです。

 

■なぜ減価償却をする必要があるの?

たとえば、家電を製造するメーカーの例で考えてみましょう。

メーカーが新しく掃除機を作る機械を8,000万円で購入したとします。

それを減価償却しなかったら、どうなるでしょうか。

8,000万円をそのまま購入した年度の経費としたら、それまで毎年黒字だったのに突然赤字になってしまうかもしれません。

赤字になれば、銀行からの融資を打ち切られてしまう可能性があります。

そこで、8,000万円の機械を減価償却して使用期間にわたって少しずつ減価償却費として経費計上としていくことで、毎年の利益が正確に表されるようになるのです。

 

■どうやって減価償却費を計算するの?

実務的には法人税法に定められた計算によって減価償却費を計算をします(だいたい会計ソフトが計算するので、自分で計算することはないです)。

ここでは減価償却の計算方法として代表的な「定額法(ていがくほう)」と「定率法(ていりつほう)」について説明します。

 

・定額法

耐用期間(=使用期間)中、毎年同じ額の減価償却費を計算する方法です。

・定率法

耐用期間(=使用期間)中、毎期首未償却残高に一定率(=償却率)を乗じて減価償却費を計算する方法

 

②非減価償却資産

減価償却を行わない資産のことで、具体的には以下が該当します。

・土地

・建設仮勘定(本社ビルや工場などの建設は、契約から完成までの期間が長いため、完成前に工事代金の一部を手付金として支払うことがあります。この建設中に支払っ た手付金のことを建設仮勘定(けんせつかりかんじょう)と言います)

 

■なぜ土地や建設仮勘定は減価償却を行わないの?

土地は使用や時の経過によって価値がなくなることはありませんので、減価償却を行いません。

また、建設仮勘定はいわば「未完成」の状態のものです。未完成の状態で事業に使用することはありませんから、「建設仮勘定」を減価償却することはないのです。

 

固定資産(非流動資産)ー無形固定資産

無形固定資産とは、長期にわたって使用する資産で具体的な形がないものをいい、①減価償却資産(げんかしょうきゃくしさん)と②非減価償却資産(ひげんかしょうき ゃくしさん)に分かれます。

 

①減価償却資産

減価償却を行う資産のことで、具体的には以下が該当します。

・のれん

・ソフトウェア

・特許権

 

■「のれん」って何?

「のれん」とは、企業がM&A(買収・合併)で支払った金額のうち、買収先企業の純資産を上回った差額のことを言います。

例えば、時価純資産が7,000万円の会社をM&A価格1億円で買った場合、のれん代=1億円ー7,000万円となり、3,000万円がのれんとなります。

 

■なぜ「のれん」が発生するの?

M&A価格にはさまざまな無形資産が含まれていたり、買い手の期待値が含まれていたりするため、時価純資産よりも高くなることがほとんどです。

簡単にいうと、多くの場合において、M&A価格は対象企業の財産をすべて足しただけの価値よりも高くなるということになります。

 

■マイナスの「のれん」が発生したらどうするの?

買収額 < 買収先企業の純資産 となる場合、つまりマイナスの「のれん」が発生した場合は、「負ののれん発生益」等の勘定科目でその発生した年度の
特別利益として計上します。

 

■なぜ「負ののれん」は減価償却しないの?

それは、負ののれんというものは、本来発生しないはずの異常現象と解釈されているからです。

負ののれんが発生するのは、「買収額 < 買収先企業の純資産」となる場合でした。

会社の純資産は、株主が今現在持っている会社の財産価値だと考えられています。これを時価よりも安い価格で売るということは、価値の高い財産(会社が持っている純資産)を、価値の低い財産(M&A対価)と交換するということですから、本来あり得ない非合理的な行動であるはずです。

つまり、「安値で売るぐらいだったら、廃業して解散したほうが、売り手には多くの財産が手に入るはずだ。それにもかかわらず安値で売るというのは、経済合理性に反する異常な行動だ」ということです。

 

■なぜ「負ののれん」は特別利益に計上されるの?

買い手にとって、負ののれんが発生するM&Aでは、純資産を構成する資産負債を、その時価よりも安く手に入れているということになります。

つまり、得をしているのです。

買い手が買収後すぐに事業を廃止し、従業員を全員解雇すれば、買い手はノーリスクで安く資産を手に入れたということになります。

このような異常な取引によって利益を得るため、負ののれんの会計処理は「特別利益」とされています。

 

②非減価償却資産

減価償却を行わない資産のことで、具体的には以下が該当します。

・借地権

・電話加入権

 

■なぜ借地権や電話加入権は減価償却を行わないの?

「借地権」とは、土地を借りて家を建てる場合に、その土地を借りる権利のことです。

借地権は土地と同様、使用によって減価しない資産であると考えられているため、減価償却を行いません。

また、「電話加入権」とは、NTT東日本、NTT西日本の加入電話回線を契約するための権利のことで施設設置負担金ともいいます。

必要ない人から購入し、必要な人に売却するなど転売も行われているため、権利のような言い方をしています。

電話加入権も土地と同様、使用によって減価しない資産であると考えられているため、減価償却を行いません。

 

 

固定資産(非流動資産)ー投資その他の資産

投資その他の資産とは、有形固定資産や無形固定資産に入らない固定資産のことです。

具体的には、短期的な売買目的ではない投資有価証券、子会社・関係会社株式、出資金、長期貸付金などが該当します。

 

①投資有価証券

その中で、投資有価証券は「満期保有目的の債権」と「その他の有価証券」が該当します。

「満期保有目的の債権」とは、国債や社債など満期が設定されている有価証券を満期まで保有することで投資元本と利息を目的とする場合の債権のことです。

「その他の有価証券」とは、売買目的有価証券・満期保有目的の債権・子会社・関連会社株式いずれにも当てはまらない有価証券のことです。

図にまとめるとこんな感じです。

 

②子会社・関係会社株式

子会社・関係会社株式とは支配力や影響力を行使する目的で会社の株式を保有する場合に利用する勘定科目です。

 

③出資金

企業が他の組織である組合などに投資した場合、これらの投資を「出資金」といいます。

「出資金」は有価証券などと異なり、その持分を、簡単に他人に譲渡できない制約も多いことから、有価証券と分けて記帳されます。

 

④長期貸付金

回収に1年超を要する貸付金のことです。

回収が1年未満の部分は「短期貸付金」として流動資産に計上されます。

 

 

流動負債

続いては、流動負債の項目に移りましょう。

会社の決算書の貸借対照表を見ると、流動負債って項目ありますよね?

ここの項目です。

実は、負債には「流動負債」と「固定負債」という区分があって、以下のルールで分けられています。

(これは資産項目についても当てはまります)

①正常営業循環基準:営業のサイクルである商品の仕入から売上に至る流れの中にある項目を「流動資産」や「流動負債」と考えるものです。

②1年基準(ワンイヤールール):決算日の翌日から起算して1年以内に決済される資産あるいは、負債を「流動資産」と「流動負債」と考えるものです。それ以外は、「固定資産」と「固定負債」と考えます。

 

実務上は、まず、①正常営業循環基準を適用し、この基準で判断できなかったものにさらに②1年基準を適用し、「流動」と「固定」の項目を分けます。
図解するとこんな感じです。

 

ですので、流動負債には以下の2つの項目が含まれることになります。

■営業サイクルにある負債(買掛金・支払手形等)

■1年以内に決算される負債(前受金、未払費用等)

流動負債に含まれる各項目については、以下で解説していきますね。

 

流動負債ー営業債務

営業債務には主に、①支払手形、②買掛金、③電子記録債務が含まれています。
以下それぞれについて解説していきますね。

 

①支払手形(しはらいてがた)

ビジネスにおける取引先への決済方法には、即日現金払い以外に一定期間支払いを延長する方法があります。

そのひとつに商業手形を振り出すという支払方法があります。

商業手形を振り出した場合、その手形を支払手形と呼びます。

支払手形は、通常、決済期日が60日先、90日先等に指定されており、買掛金より資金回収までの期間が長いという特徴があります。

 

②買掛金(かいかけきん)

買掛金とは、取引先との通常の取引によって生じた買入代金のうち、まだ支払われていないもののことです。

会社同士の取引では継続的な取引になることが多く、その都度人件費や手数料を割いて代金を支払っていては、無駄な費用がかかってしまいます。

そこで、後日まとめて代金を支払う約束をし、取引の効率化を図ったのが買掛金です。

 

③電子記録債務(でんし きろく さいむ)

電子記録債務とは、従来の買掛金や支払手形とは異なり、電子的に記録されることによって発生する新しい金銭債務のことです。

支払手形では、手形を振り出す時には、銀行が交付する指定の用紙に必要事項を記入し、その紙をやりとりしていました。

しかし、電子記録債務では、取引によって電子記録債務が発生したことを電子記録機関(※)に知らせ、記録原簿に記録することによって債務が発生します。

(※)電子記録機関は、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行、全国銀行協会の4つの機関が電子記録機関としての認可を受け、それぞれが電子記録債務の取り扱いを始めました。

 

流動負債ー営業債務以外の流動負債

営業債務以外の項目としては主に①短期借入金、②1年内償還予定の社債、③1年内返済予定の長期借入金、④未払法人税等、⑤賞与引当金があります。

以下それぞれについて解説していきますね。

 

①短期借入金

短期借入金とは、返済期限が決算日の翌日から1年を超えない範囲に設定された借入金のことです。

短期借入金は仕入代金の支払いなど、主として短期間の資金繰りに使われます。

また、返済のための資金調達が確定しているものの支払の時期に間に合わない場合、一時的に借り入れる資金を「つなぎ資金」といい、このための借入を「つなぎ融資」と呼びます。

借入金の形態としては主に以下の4つがあります。

1、金銭消費貸借契約証書を締結して行う「証書借入」

2、約束手形を振出して行う「手形借入」

3、当座貸越限度額を定め、その限度内までは自由に資金を貸借できる「当座貸越」

4、外貨で借入を行う「外貨建借入金」

 

②1年内償還予定の社債

社債とは、投資家から資金を募る際に発行する有価証券のことです。

社債には返済期日や利息率が記されており、企業が投資家に対して発行する「借用証明」の役割を果たします。

1年内償還予定の社債とは、1年以内に返済を行う必要がある社債のことを言います。

社債には、主に次のようなものがあります。

 

・普通社債(SB)

一般的に「社債」というとこちらの普通社債を指し、ストレートボンド(SB)とも呼ばれます。

あらかじめ設定された満期までの間、投資家に対して利息が支払われる仕組みであり、ほとんどの場合は固定金利となります。信用格付(※)に応じて利率が高くなる傾向があります。

(※)信用格付とは、民間の格付機関(信用格付会社)が国債や社債などの債券投資をする投資家向けに、将来における元本の支払いや利息の支払いが確実に履行される かどうかを評価し、その信用度合(債務の返済可能性など)を記号化して表現することで、その会社や国(発行体)のリスク度合いを分かり易く表示したものです。

格付は格付会社によって評価方法や表記が異なりますが、通常はアルファベットや数字を組み合わせて記載されます。

例えばスタンダード&プアーズの場合は以下の通りです。

AAA(トリプルA) :債務履行の確実性が最も高い。

AA(ダブルA) :債務履行の確実性は極めて高い。

A(シングルA) :債務履行の確実性は高い。

BBB(トリプルB): 債務履行の確実性は高いが、将来確実とはいえない。

 

・転換社債(CB)

転換社債(転換社債型新株予約権付社債)は、チェンジャブルボンド(CB)とも呼ばれます。

基本的な仕組みは普通社債と変わりませんが、一定条件において株式と交換できるという特徴があります。

社債としても機能するため利息を受け取ることもできますが、特別な条件が付帯することから、普通社債に比べて利息は低く設定されるのが一般的です。

 

・ワラント債

ワラント債(新株予約権付き社債)は、通常の社債に加えて新株予約権(社債を発行した企業の株式を一定金額で購入できる権利)が付帯しているものを指します。

社債を株式に交換できる転換社債とは異なり、ワラント債の権利を行使する場合は別途の支払いによって株式を購入する必要があります。

なお、株式を購入する権利だけを第三者へ売却することも可能です。

 

③1年内返済予定の長期借入金

長期借入金のうち、1年以内に返済しなければならない部分のことを言います。

 

④未払法人税等

未払法人税等とは、納付すべき法人税、住民税および事業税の未払額のことを言います。

法人税、住民税及び事業税は一会計期間に法人が獲得した利益に対して課税され、決算日の翌日から2ヶ月以内に確定申告をし、納付します。

 

⑤賞与引当金

賞与引当金とは、企業が従業員に対して翌期に支給する賞与(ボーナス)に備えて見積り計上するための勘定科目のことです。

 

固定負債(非流動負債)

次は、固定負債(非流動負債)に行きましょう。

会社の決算書の貸借対照表を見ると、固定負債って項目ありますよね?

ここの項目です。

 

固定負債には以下の項目が含まれることになります。

■決算に1年超要する負債(社債・長期借入金・退職給付に係る負債)

以下、各項目について説明していきます。

 

①社債

社債とは、投資家から資金を募る際に発行する有価証券のことです。

社債には返済期日や利息率が記されており、企業が投資家に対して発行する「借用証明」の役割を果たします。

社債には、主に次のようなものがあります。

 

・普通社債(SB)

一般的に「社債」というとこちらの普通社債を指し、ストレートボンド(SB)とも呼ばれます。

あらかじめ設定された満期までの間、投資家に対して利息が支払われる仕組みであり、ほとんどの場合は固定金利となります。信用格付(※)に応じて利率が高くなる傾向があります。

(※)信用格付とは、民間の格付機関(信用格付会社)が国債や社債などの債券投資をする投資家向けに、将来における元本の支払いや利息の支払いが確実に履行される かどうかを評価し、その信用度合(債務の返済可能性など)を記号化して表現することで、その会社や国(発行体)のリスク度合いを分かり易く表示したものです。

格付は格付会社によって評価方法や表記が異なりますが、通常はアルファベットや数字を組み合わせて記載されます。

例えばスタンダード&プアーズの場合は以下の通りです。

AAA(トリプルA) :債務履行の確実性が最も高い。

AA(ダブルA) :債務履行の確実性は極めて高い。

A(シングルA) :債務履行の確実性は高い。

BBB(トリプルB): 債務履行の確実性は高いが、将来確実とはいえない。

 

・転換社債(CB)

転換社債(転換社債型新株予約権付社債)は、チェンジャブルボンド(CB)とも呼ばれます。

基本的な仕組みは普通社債と変わりませんが、一定条件において株式と交換 できるという特徴があります。

社債としても機能するため利息を受け取ることもできますが、特別な条件が付帯することから、普通社債に比べて利息は低く設定されるの が一般的です。

 

・ワラント債

ワラント債(新株予約権付き社債)は、通常の社債に加えて新株予約権(社債を発行した企業の株式を一定金額で購入できる権利)が付帯しているものを指します。

社債を株式に交換できる転換社債とは異なり、ワラント債の権利を行使する場合は別途の支払いによって株式を購入する必要があります。

なお、株式を購入する権利だけを第三者へ売却することも可能です。

 

②長期借入金

長期借入金とは、返済期限が1年超の借入金のことで、土地や工場など大きな固定資産の購入などで資金が不足した時に利用する借入金です。

 

③退職給付に係る負債

退職給付債務(※)から、退職金や年金のために積み立てたお金である「年金資産」の額を除いた金額のことです。

つまり、退職給付に関する積立不足額を表すものです。

(※)退職給付債務とは、従業員に支給される退職給付の見込み額のうち、当期末までに発生していると認められる金額の現在価値のことを言います。

 

純資産

次は純資産の項目を見ていきましょう。

会社の決算書の貸借対照表を見ると、純資産って項目ありますよね?

ここの項目です。

純資産とは簡単にいうと「資産 ― 負債」なのですが、いくつかの項目に分かれています。

以下では、添付画像に記載されている各項目について説明しますね。

 

■株主資本

株主資本とは、株主が出資したお金とこれまでに獲得した利益の残りを合わせたもののことであり、①資本金、②資本剰余金、③利益剰余金、④自己株式 の4項目から構成されます。

 

①資本金

資本金とは、株主が会社に対して払い込んだ額のうち一定の額を言います。

一定の額については、会社が自由に定めることができます。

極端な話、資本金を1円としても会社設立は可能でが、実務上はもっと大きい額にする会社が多いです。

 

②資本剰余金

資本剰余金とは、会社設立や増資時に株主から集めた資金等のうち、資本金とされなかったもののことを言い、資本準備金とその他の資本剰余金から構成されます。

ここで、「なぜ、会社設立や増資時に株主から集めた資金の全額を資本金としないの?」という疑問が出るかと思います。

私も最初にこの説明を聞いた時にそう思いました。

 

実は、資本金を増やしたり減らしたりするのはかなり厳格な手続きが必要なのです。

資本金を増やすことを増資、減らすことを減資といいますが、これらの手続きにはそれ相応の手間と費用がかかります。

登記変更の手続きが必要ですし、原則株主総会の特別決議(3分の2の賛成が必要)も必要です。

それに比べ、資本準備金に関わる手続きは簡便です。株主総会の普通決議(過半数の賛成でOK)で十分であるうえ、登記も不要です。

資本準備金の移動としてよくある例としては、資本準備金の取り崩しによる赤字補填(利益剰余金への充当)の解消です。

資本準備金を取り崩すことによって、赤字補填を比較的容易に行うことが可能となります。

 

③利益剰余金

利益剰余金とは、会社の利益を分配せずに社内で積み立てたものです。「内部留保」と呼ばれることもあります。

 

④自己株式

自己株式とは、会社が保有する自己の株式のことを言います。「金庫株」と呼ばれることもあります。

 

■その他の包括利益累計額

その他の包括利益累計額とは、資産・負債を評価替え(時価評価 or 換算換え)したことによる差額の部分のことを言い、主に①その他有価証券評価差額金、②繰延ヘッジ損益、③退職給付に係る調整累計額から構成されます。

 

①その他有価証券評価差額金

「その他有価証券評価差額金」とは「その他有価証券」を時価評価した際に発生する時価変動額のことを言います。

「その他有価証券」とは、会社が保有する有価証券のうち、売買目的有価証券・満期保有目的の債券・子会社/関連会社株式に該当しない有価証券のことを言います。

有価証券の区分については以下の表をご覧ください。

 

②繰延ヘッジ損益

繰延ヘッジ損益とは、先物取引やオプション取引といったデリバティブ取引を時価評価した際に発生する時価変動額のことを言います。

デリバティブ取引は原則として期末で時価評価を行って、時価評価差額は当期の損益となるのですが、ヘッジ会計という特殊な会計手法を用いている場合のみ、評価差額を当期の損益とせず、繰延ヘッジ損益という勘定科目にて会計処理することができます。

 

③退職給付に係る調整累計額

退職給付に係る調整累計額とは、退職給付に関する負債計上に関するもので未認識数理計算上の差異と未認識過去勤務債務から構成されます。

・・・といってもなかなかわからないと思いますので、退職給付に関するものなんだぐらいに思っていただければOKです。

 

■非支配株主持分

非支配株主持分とは、子会社の資本のうち親会社の持分以外の部分のことをいいます。

例えば、子会社の資本が1,000で、親会社の持分が80%の場合、1,000×20%=200が非支配株主持分ということになります。

 

貸借対照表の活用

先ほどまでで、貸借対照表の各項目について説明させていただきました。

つぎに、貸借対照表の活用方法について説明します。

 

①純資産はプラス?

まずは、純資産の金額がプラスになっているかどうか確認しましょう。

純資産の金額がマイナスになっているということは、資産<負債 の状態となっており債務超過という状態になっています。

債務超過になったからといってすぐに倒産するというわけではないですが、会社の財務状態が著しく悪い状態ですので、危険と考えていただいて問題ありません。

 

②ビジネスモデルを推察してみよう

次に、流動資産・固定資産・流動負債・固定負債の金額をそれぞれ確認し、会社の事業内容と整合しているか確認してみましょう。

例えば、インフラ事業を行っている会社であれば、巨大な設備投資が必要なわけですから固定資産・固定負債が多額になっていそうですよね?

その仮定を基に実際の貸借対照表の金額をみてその仮定があっているか確認してみましょう。

下記図はJR東海のBSとPLです。BSを見ると固定資産・固定負債が多額になっていますよね

バフェット・コードより

仮定があっていればそれでOK。もし違っていたら、その会社特有のビジネスモデルが隠されているかもしれません。

例えば、FA(ファクトリーオートメーション)支援等を行っているキーエンスは、製造業の側面を持っているにも関わらず固定資産の割合が少ないです。

バフェット・コードより

実はキーエンスはファブレス企業として有名で、あえて自社工場を持たず、製造は国内と海外の協力会社にアウトソースしています。

そのため、固定資産の割合が少なくなっているのです。

参考HP:https://www.keyence-engineering.co.jp/group/businessmodel/

 

③流動比率をみよう

次に短期的な財務の安定性を確認するために、流動比率(りゅうどう ひりつ)を計算して確認してみましょう。

以下の算式で計算されます。

流動比率(%)=流動資産÷流動負債×100

 

目安としては、130%を超えていれば問題ありません。

普通に考えると100%超でいいんじゃないかという気がしますが、いざ流動資産を換金しようとした場合には、貸借対照表に計上されている帳簿価額以下でしか売却できないものも含まれている可能性があるため130%以上が目安となります。

 

もし、130%以下のなっている場合には以下の対策を講じることが考えられます。

・短期的な資金調達先を確保する(銀行など)

・売上債権の回収期間を短くする(得意先からの現金回収までの期間を短くする)

・仕入債務の支払期間を長くする(仕入先への支払いの期限を遅らせてもらう)

 

 

④自己資本比率をみよう

次に長期的な財務の安定性を確認するために、自己資本比率(じこしほん ひりつ)を計算して確認してみましょう。

以下の算式で計算されます。

自己資本比率(%)=純資産÷(負債+純資産)×100

 

目安としては、30%を超えていれば倒産リスクは低いと考えられています。

 

もし、30%以下のなっている場合には以下の対策を講じることが考えられます。

・収益性を高め、利益剰余金を増やす

・運転資金(売上債権+棚卸資産-仕入債務)を圧縮し、無駄な資産を処分することにより負債を減らす

・資本の増強(新株発行等)を行って、純資産を増加させる

 

 

⑤固定比率をみよう

次に自己資本比率と同様、長期的な財務の安定性を確認するために、固定比率(こてい ひりつ)を計算して確認してみましょう。

以下の算式で計算されます。

固定比率(%)=固定資産÷純資産×100

 

目安としては、100%を下回っていれば安全と言われます。

 

もし、100%以上となっている場合には以下の対策を講じることが考えられます。

・収益性を高め、利益剰余金を増やす

・利益を生んでいない無駄な固定資産売却して固定資産を圧縮させる

・資本の増強(新株発行等)を行って、純資産を増加させる

 

 

 

損益計算書

先ほどまでで、貸借対照表が終わりました。

長かったですね。

次は損益計算書です。

損益計算書はそんなに説明する項目がないので、サクッと行きますね。

会社の決算書でいうと、ここの項目です。

 

わかりやすいように図示してみました。以下ではこの図に従って各項目を説明していきます。

 

①売上高

会社の本業(定款(ていかん:会社を運営していく上での基本的規則を定めたもの)に示す業務)で稼いだ収益が計上されます。

同じ収益であっても、本業でない有価証券売却による利益や不動産収入などは売上高ではなく営業外収益や特別収益として計上されます。

 

②売上原価

売上高に対応する費用がここに含まれます。

製造業ならその原材料費・人件費・加工費など、小売業なら仕入費用などです。

 

③売上総利益

売上総利益とは「売上高ー売上原価」で計算されるもので、粗利(あらり)とも呼ばれます。

 

④販売費及び一般管理費

販売費とは、商品や製品を販売するために直接かかった費用のことで販売手数料や広告宣伝費などが該当します。

また、一般管理費とは会社全般の業務の管理活動にかかる費用のこといい、総務部や経理部といった間接部門の人件費、減価償却費、租税公課、交際費、旅費交通費などが該当します。

 

⑤営業利益

営業利益とは、「売上総利益ー販売費及び一般管理費」で計算されるもので、本業で稼いだ利益に相当します。

 

⑥営業外損益

本業以外で発生した損益のことで、経常的に発生するものを指します。

例えば不動産収入や利息、株の配当、借入金の利息などが該当します。

経常的でない突発的な損益については、特別損益に計上します。

 

⑦経常利益

経常利益とは、「営業利益ー営業外損益」で計算されるもので、会社が経常的な活動で稼いだ利益を指します。

 

⑧特別損益

本業以外で発生した損益のうち、経常的でない突発的な損益のことをいいます。

例えば、減損損失や保険金収入などが該当します。

 

⑨税引前当期利益

税引前当期利益とは、「経常利益ー特別損益」で計算されるものです。

 

⑩法人税等

法人税等とは、企業が支払うべき法人税、住民税及び事業税のことを意味します。

 

⑪当期純利益

当期純利益とは、「税引前当期利益ー法人税等」で計算されるもので、当期の最終的な利益の金額を指します。

 

損益計算書の活用方法

次に、損益計算書の活用方法について説明しますね。

 

①当期利益はプラス?

まずは、当期の最終的な利益に相当する当期利益がプラスかマイナスかを確認しましょう。

当期利益がプラスになっていることはとても重要です。

当期に計上された利益は内部留保となり、今後の投資や運転資金の確保等、経営基盤の安定につながります。

また、利益は株主への配当原資となります。

 

②営業利益はプラス?

次に、本業の稼ぎを示す営業利益がプラスかマイナスかを確認しましょう。

最終的な当期利益が黒字であっても、営業利益がマイナスの場合は本業で利益を上げられていないことになるためかなり問題です。

ビジネスモデルの見直しを行う必要があるということになります。

 

③売上高総利益率をみよう

売上高総利益率は粗利率(あらりりつ)ともいい、以下の算式で計算されます。

売上総利益率(%)=売上総利益÷売上高×100

数値が高い程、利益率が高いということになりますが、業種によって数値がかなり異なるため、同業種間や自社の数年のデータの推移を比較する必要があります。

 

④売上高営業利益率をみよう

売上高営業利益率は、本業での利益率を表す指標で、以下の算式で計算されます。

売上高営業利益率(%)=営業利益÷売上高×100

数値が高い程、本業での利益が上がっていることになりますが、こちらも業種間に違いがあります。

一般的には、10%を超えると優良企業と評価されるようです。

 

⑤売上高経常利益率をみよう

売上高経常利益率は経常的な会社の活動での利益率を表す指標で、以下の算式で計算されます。

売上高経常利益率(%)=経常利益÷売上高×100

数値が高い程、効率的な経営であるといえます。

もし0%を下回っていると赤字経営状態であるので、運転資金を圧縮して借入金を減らすなど対策が必要です。

 

表にまとめるとこんな感じになります。

 

キャッシュ・フロー計算書

次は、キャッシュ・フロー計算書を見ていきましょう。

キャッシュ・フローとは、会社の現金の流れを示しています。

一定会計期間内のキャッシュ・フローを表した、つまりどれだけ現金が流入し、そして流出したかを示す財務諸表をキャッシュ・フロー計算書といいます。

会社の決算書でいうと、ここの項目です。

では、キャッシュ・フロー計算書についてみていきましょう。

 

■キャッシュ・フロー計算書はいつから登場したの?

キャッシュ・フロー計算書は平成10年(1998年)に登場しました。

それまでの決算書といえば損益計算書と貸借対照表だけでしたがそれにお金の流れを示すキャッシュ・フロー計算書の作成義務が上場企業について生じたのです。

 

■キャッシュ・フロー計算書はなぜ必要なの?

キャッシュ・フロー計算書の必要性は「黒字倒産を起こさないため」に集約できます。

「黒字倒産」とは利益が出ているにも関わらず倒産してしまうことを言います。

そもそも赤字では会社は倒産しません。

外部へお金を支払えなくなったときに倒産してしまうのです。

「勘定合って銭足らず」という言葉があります。

損益計算書上では利益が出て黒字だとしても、支出が収入を上回れば手元の資金が不足してしまいます。

損益計算書上の利益と手元に実際にある資金にはズレが生じるということになりますが、この資金不足により支払いができなくなれば例え黒字でも企業は倒産してしまうのです。

会社の支払い能力を知るためには貸借対照表や損益計算書だけでは足りなくなり、キャッシュ・フロー計算書の必要性が高まってきたのです。

 

■キャッシュ・フロー計算書にはどんな項目があるの?

キャッシュ・フロー計算書には①営業活動によるCF(キャッシュ・フロー)、②投資活動によるCF(キャッシュ・フロー)、③財務活動によるCF(キャッシュ・フロー)の3項目があります。以下、それぞれについてみていきましょう。

 

①営業活動によるCF

営業活動によるキャッシュ・フローは、「本業で稼いだお金」を表しています。

営業活動によるキャッシュ・フローは会社の本業を示す部分なので、プラスになっているのが望ましいといえます。

マイナスになっていると危ないです。

利益が出ない商品を売っている、あるいは売上は計上しているのに現金の回収ができていない、などの原因があることになります。

 

②投資活動によるCF

投資活動によるキャッシュ・フローは「事業投資に関するお金」を表しています。

新たに設備を購入するなどの投資を行えばマイナスになり、設備を売却すればプラスとなります。

成長に向けて積極的に投資を続けている会社であれば、通常は投資活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなります。

 

③財務活動によるCF

財務活動によるキャッシュ・フローは「資金調達に関するお金」を表しています。

借入れや投資家からの出資などは財務活動によるキャッシュ・フローに区分されます。

 

■キャッシュ・フロー計算書をどのように活用すればいいの?

キャッシュ・フロー計算書は、営業活動によるCF・投資活動によるCF・財務活動によるCFがプラスかマイナスかで会社の状況を確認するのがよいと思います。

以下でパターン別に整理しました。

①リストラ型(営業CF+、投資CF+、財務CF-)
②理想型  (営業CF+、投資CFー、財務CF-)
③事業拡大型(営業CF+、投資CFー、財務CF+)
④急成長型 (営業CFー、投資CFー、財務CF+)
⑤事業縮小型(営業CFー、投資CF+、財務CFー)
⑥借入依存型(営業CFー、投資CF+、財務CF+)

 

 

財務諸表分析ってどうやるの?【安全性・収益性・効率性の観点で分析します】

この項目では、財務諸表分析のやり方について解説します。

財務諸表分析の対象は、主に貸借対照表と損益計算書になります。

それでは、財務諸表分析について解説していきます。

 

安全性分析

まずは安全性分析です。安全性分析では、企業の倒産リスクがどの程度あるのか、財務の健全性・安全性がどの程度あるのかについて分析していきます。

 

流動比率(りゅうどう ひりつ)

短期的な財務の安定性を確認するために、流動比率(りゅうどう ひりつ)を計算して確認してみましょう。

以下の算式で計算されます。

流動比率(%)=流動資産÷流動負債×100

 

目安としては、130%を超えていれば問題ありません。

普通に考えると100%超でいいんじゃないかという気がしますが、いざ流動資産を換金しようとした場合には、貸借対照表に計上されている帳簿価額以下でしか売却できないものも含まれている可能性があるため130%以上が目安となります。

 

もし、130%以下のなっている場合には以下の対策を講じることが考えられます。

・短期的な資金調達先を確保する(銀行など)

・売上債権の回収期間を短くする(得意先からの現金回収までの期間を短くする)

・仕入債務の支払期間を長くする(仕入先への支払いの期限を遅らせてもらう)

 

自己資本比率(じこしほん ひりつ)

次に長期的な財務の安定性を確認するために、自己資本比率(じこしほん ひりつ)を計算して確認してみましょう。

以下の算式で計算されます。

自己資本比率(%)=純資産÷(負債+純資産)×100

 

目安としては、30%を超えていれば倒産リスクは低いと考えられています。

 

もし、30%以下のなっている場合には以下の対策を講じることが考えられます。

・収益性を高め、利益剰余金を増やす

・運転資金(売上債権+棚卸資産-仕入債務)を圧縮し、無駄な資産を処分することにより負債を減らす

・資本の増強(新株発行等)を行って、純資産を増加させる

 

 

固定比率(こてい ひりつ)

次に自己資本比率と同様、長期的な財務の安定性を確認するために、固定比率(こてい ひりつ)を計算して確認してみましょう。

以下の算式で計算されます。

固定比率(%)=固定資産÷純資産×100

 

目安としては、100%を下回っていれば安全と言われます。

 

もし、100%以上となっている場合には以下の対策を講じることが考えられます。

・収益性を高め、利益剰余金を増やす

・利益を生んでいない無駄な固定資産売却して固定資産を圧縮させる

・資本の増強(新株発行等)を行って、純資産を増加させる

 

 

 

収益性分析

次に、収益性分析です。収益性分析では、どのくらい利益を効率的に獲得しているかという点に着目します。

 

ROA(アールオーエー:Return On Assets)

ROAは、投下した全ての資本(負債+自己資本)に対して、どれだけの利益を獲得したかを確認するために利用する指標です。純資産(自己資本)、負債(他人資本)を含めた、すべての資本をいかに効率的に運用できているかを表す情報とも言えます。

ROAは以下の算式で計算されます。

 

ROA(%)=当期純利益/(負債+自己資本(※))×100

※自己資本=株主資本+その他包括利益累計額

 

目安としては、一般的に5%を超えると優良企業として判断されることが多いです。

 

ROAを高める方法としては、以下の方法が考えられます。

・収益性を高める(売上高利益率を上げる)

・効率性を上げる(資産回転率を上げる)

 

これは、ROAを以下の算式に分解することで理解することができます。

ROA = 売上高純利益率 × 資産回転率

 ※売上高純利益率=当期純利益 ÷ 売上高

 ※資産回転率=売上高 ÷ (負債+自己資本)

 

 

ROE(アールオーイー:Return On Equity)

ROEは株主が自分で出資した資本に対して、どれだけの利益を獲得したかを確認するために利用する指標です。

企業の収益性判断の指標として、また株式投資の指標として重要視されています。

 

ROEは以下の算式で計算できます。

ROE(%)=当期純利益/(自己資本(※))×100

  ※自己資本=株主資本+その他包括利益累計額

目安としては、一般的に10%を超えると優良企業として判断されることが多いです。

 

ROEを高める方法としては、以下の方法が考えられます。

・収益性を高める(売上高純利益率を上げる)

・効率性を上げる(資産回転率を上げる)

・借金を多くする(財務レバレッジを上げる)

 

これは、ROEを以下の算式に分解することで理解することができます。

ROE = 売上高純利益率 × 総資産回転率 × 財務レバレッジ

  ※売上高純利益率 =当期純利益÷売上高

  ※総資産回転率   =売上高       ÷総資産

  ※財務レバレッジ    =総資産       ÷自己資本

 

 

ROAとROEの関係性

ROAが、総資産(自己資本+負債)を使ってどれだけ利益を生み出したかを示す指標であるのに対し、ROEは、自己資本(株主から預かったお金)を使ってどれだけ利益を生み出しているかを示す指標です。

つまり、ROAが表しているのは、資金の出どころが自己資本か他人資本かを問わず、企業が資産をどれだけ効率的に運用できているかということです。

ROAとROEの関係を図示すると以下のようになります。

 

 

売上高総利益率(うりあげだか そうりえき りつ)

売上高総利益率は粗利率(あらりりつ)ともいい、以下の算式で計算されます。

売上総利益率(%)=売上総利益÷売上高×100

数値が高い程、利益率が高いということになりますが、業種によって数値がかなり異なるため、同業種間や自社の数年のデータの推移を比較する必要があります。

 

 

営業利益率(えいぎょう りえきりつ)

営業利益率は、本業での利益率を表す指標で、以下の算式で計算されます。

営業利益率(%)=営業利益÷売上高×100

数値が高い程、本業での利益が上がっていることになりますが、こちらも業種間に違いがあります。

一般的には、10%を超えると優良企業と評価されるようです。

 

 

経常利益率(けいじょう りえきりつ)

経常利益率は経常的な会社の活動での利益率を表す指標で、以下の算式で計算されます。

経常利益率(%)=経常利益÷売上高×100

数値が高い程、効率的な経営であるといえます。

もし0%を下回っていると赤字経営状態であるので、運転資金を圧縮して借入金を減らすなど対策が必要です。

 

 

効率性分析

最後に効率性分析です。効率性分析では、投下資本の使用効率をみるための指標です。

 

売上債権回転期間(うりあげさいけん かいてんきかん)

売上債権回転期間は、売上債権を回収するのに要する期間を把握するために利用する指標です。

以下の算式で計算します。

売上債権回転期間(月)=売上債権/月次平均売上高

 

短い方が望ましいです。

もし売上債権回転期間が長い場合は、企業の信用力が低下することとなってしまいます。

具体的には、銀行からの融資枠が減る、取引先が与信限度額を低くするor取引から撤退するといった影響が出ます。

 

売上債権回転期間を短くするための方法としては、以下が挙げられます。

・ファクタリング(自社が保有する売上債権をファクタリング会社に買い取ってもらうこと方法)

・回収サイトについて得意先と交渉する

 

 

棚卸資産回転期間(たなおろししさん かいてんきかん)

棚卸資産回転期間は、棚卸資産が社内に滞留している期間を把握するために利用する指標です。

以下の算式で計算します。

棚卸資産回転期間(月)=棚卸資産/月次平均売上原価

 

短い方が望ましいです。

もし棚卸資産回転期間が長い場合は、以下のような影響が出ます。

・手持ち資金の圧迫

・在庫管理の費用がかさむ

・商品の陳腐化

 

棚卸資産回転期間を短くするための方法としては、以下が挙げられます。

・生産能力のより高い機械を導入するなどの設備投資を行う

・工場の製造ラインを圧縮して、プロセスにかかる時間を短縮する

 

 

仕入債務回転期間(しいれさいむ かいてんきかん)

仕入債務回転期間は、仕入債務を実際に支払うまでの期間を把握するために利用する指標です。

以下の算式で計算します。

仕入債務回転期間(月)=仕入債務/月次平均売上原価

 

仕入債務回転期間については、短いと早く現金として支払っていることになり、逆に長いと現金が企業内に残っていることを意味することとなります。

そのため、短い方がよいとも長い方ともよいとも一概には言えない指標です。

時系列で推移を確認し、急に短くなったり長くなったりしていないかを確認するのが大切です。

 

 

決算書を使って、会社分析を行うノウハウ

ここでは以下の悩みに答えていきたいと思います。

・会社分析って何を分析すればよいかわからない

・「決算書を読め」と言われるけど、どうやって読めばよいかわからない。

 

何を分析すればよいかわからない

実はこの悩みは会社分析の本質をついています。

「何を分析すればよいか」を決めることができれば、自ずとどのような情報にアクセスして分析すればよいかが見えてきます。

 

例えば、転職候補先の会社分析をするとしましょう。

転職候補先の会社のことについて、あなたは何を知りたいですか?

これを考えることがポイントです。

つまり「何を分析すればよいか」を「何を知りたいか」に置き換えて考えてやればよいのです。

 

仮に以下のようなことを知りたいと思ったとします。

①この会社の「強み」や「弱み」は何なのだろうか。

②自分はこの会社で出世する可能性が高いのだろうか

 

以下それぞれについてみていきましょう。

 

①この会社の「強み」や「弱み」は何なのだろうか。

以下が結論です。

・強み:「会社名 + 強み」 でGoogle検索

・弱み:上場企業の場合は、「有価証券報告書の『事業等のリスク』」をみる。非上場企業の場合は、似たような事業を行っている上場企業を探して、その会社の「有価証券報告書の『事業等のリスク』」をみる

 

「強み」についてですが、会社自身が主張している「強み」と、会社以外の第三者が述べている「強み」を区別して把握するとよいです。

財務分析して検討する方法もなくはないですが、時間がない中で効率的にやるにはこれがおすすめです。

また、「弱み」についても同様に「会社名 + 弱み」でのGoogle検索もあります。

しかし、上場企業であれば「有価証券報告書の『事業等のリスク』」に自身の事業を行う上でリスクと考えていることを述べていますので、こちらを見るのがおすすめです。

 

②自分はこの会社で出世する可能性が高いのだろうか

これは上場企業のみということになってしまいますが、以下が結論です。

「有価証券報告書の『役員の状況』」を見る

 

有価証券報告書の『役員の状況』には役員の方の経歴が載っていますので、以下のことがわかります。

・中途入社の役員が何人か

・どの事業部出身の役員が多いか

・役員の年齢

それにより、「転職先での出世のしやすさ」や「社内政治でどの部署の影響力が強いか」が推察できます。

 

「決算書を読め」と言われるけど、どうやって読めばよいかわからない。

では次に、決算書の読み方について解説したいと思います。

決算書といっても色々種類がありますが、最も情報量が多い「有価証券報告書」に焦点を当てたいと思います。

必ず見るべき個所は以下の3つです。

Ⅰ【企業の概況】

Ⅱ【事業の状況】

Ⅲ【経理の状況】

 

Ⅰ【企業の概況】で、どのような事業を行っているのかを把握する

会社のHPでもどのような事業をやっているかの情報はとれますが、有価証券報告書の「企業の概況」にも記載があります。

特に、「事業系統図」が使える資料です。

主な事業の状況の概要を図示してくれています。

この図は事業理解に有用な情報ですので、この情報を利用しない手はないです。

 

<例:トヨタの事業系統図(2020年3月期の有価証券報告書より)>

 

Ⅱ【事業の状況】で、事業のリスクを把握する

有価証券報告書の「事業の状況」には、経営方針や、経営者による財務諸表分析結果が記載されているのですが、

私が注目していただきたいのは「事業等のリスク」です。

先ほどの会社の弱みの部分でも出てきましたが、事業を行うにあたって会社自身がどのようなリスクを識別しているかが記載されております。

ここに記載されているリスクが業績の変動要因となるため、必ず読んでいただくことをお勧めします。

過去の記載からどのようにリスク内容が変動しているか、同業他社ではどのような記載をしているかを比較しながら読むと、さらに深い理解ができるようになります。

 

例として、トヨタ自動車の「事業等のリスク」に記載の項目を見てみましょう(2020年3月期の有価証券報告書)

(1)市場及び事業に関するリスク

①自動車市場の競争激化

②自動車市場の需要変動

③お客様のニーズに速やかに対応した、革新的で価格競争力のある新製品を投入する能力

④効果的な販売・流通を実施する能力

⑤ブランド・イメージの維持・発展

⑥仕入先への部品供給の依存

⑦金融サービスによる競争の激化

⑧デジタル情報技術への依存

(2)金融・経済のリスク

①為替及び金利変動の影響

②原材料価格の上昇

③金融市場の低迷

(3)政治・規則・法的手続・災害等に関するイベント性のリスク

①自動車産業に適用される政府の規制

②法的手続

③自然災害、感染症、政治動乱、経済の不安定な局面、燃料供給の不足、インフラの障害、競争、テロまたはストライキの誕生

(4)新型コロナウィルスの感染拡大による影響

 

Ⅲ【経理の状況】で財務分析を行う

貸借対照表(B/S)・損益計算書(P/L)・キャッシュ・フロー計算書(C/F)などの数値を分析していきます。

いろいろ数値が並んでいて、「どこをどう見ればいいの?」という感じだと思いますので、最低限確認してほしい項目をお伝えします。

①「自己資本比率」で、会社の安全性を確認する

②「営業利益率」で、会社の収益力を確認する

③「ROA」で、会社がどれだけ資産を効率よく使って利益を生み出しているかを確認する

④「キャッシュ・フロー計算書」で、営業活動・投資活動・財務活動からのキャッシュイン・キャッシュアウトを確認する

1つずつ解説していきます。

 

①「自己資本比率」で、会社の安全性を確認する

自己資本比率とは、自己資本が総資本に対してどのくらいあるかという指標です。

自己資本比率 = 自己資本 ÷ 総資本(自己資本 + 他人資本) × 100

自己資本は他人資本と異なり、資金を第三者に返済する必要がないため、この比率が高い会社ほど安全性が高いといえます。

30%以上あれば安全といえるかと思います。

 

②「営業利益率」で、会社の収益力を確認する

次に、営業利益率を算出して、会社の本業からの収益力を確認しましょう。

営業利益率 = 営業利益 ÷ 売上高 × 100

この値はプラスになっていることが大切です。マイナスになっている場合は本業から利益を獲得できていないということであり危険な状態です。

また、過年度からこの値が上昇しているか下落しているかも大事なポイントです。

目安ですが、10%以上あれば収益力が高いと判断できます。

 

③「ROA」で、会社がどれだけ資産を効率よくつかって利益を生み出しているかを確認する

ROAとは「Return on Asset」の略で、会社がどれだけ効率よく資産を使って利益を生み出しているかを表している指標です。

ROA  =  当期純利益 ÷ 総資産 × 100

ROAの水準は業種により目安が異なるため、ROAは異業種間での比較には適していませんので留意が必要です。

例えば、トヨタ自動車のROAとイオンのROAを比較しても意味がないということです。

 

④「キャッシュ・フロー計算書」で、営業活動・投資活動・財務活動からのキャッシュイン・キャッシュアウトを確認する

最後に「キャッシュ・フロー計算書」についてです。

実際のキャッシュ・フロー計算書をみると、いろんな項目が所狭しと並んでいますが、大事なのは、営業活動・投資活動・財務活動のそれぞれのキャッシュ・フローがプラスになっているか、マイナスになっているかです。

・営業活動・・・プラスであることが必要。マイナスの場合は本業からキャッシュを稼げていないということであり危険。

・投資活動・・・プラスの場合は有価証券や固定資産などの資産売却を積極的に進めたといえる。マイナスの場合は、設備投資を積極的に進めたといえる。

・財務活動・・・プラスの場合は、借入を積極的に進めたといえる。マイナスの場合は、借入返済を積極的に進めたといえる。

 

実際に決算書を読んでみよう

最後にこの教材の総まとめとして、実際の決算書を読んでみましょう。

取り上げるのは、高い成長を続けるレーザーテック株式会社です。

そのビジネスモデルや強みなどを探っていきます。

レーザーテックは下記製品の開発・製造・販売・サービスを行う会社です。

  1. 半導体関連装置
  2. エネルギー・環境関連装置
  3. レーザー顕微鏡
  4. FPD関連装置

毎期売上・利益が増加し成長を遂げています。

■レーザーテックのビジネスモデル

半導体関連装置

半導体製造に利用される検査・測定装置です。

 

【半導体とは?】

半導体とは、一定の電気的性質を備えた物質です。

物質には電気を通す「導体」と、電気を通さない「絶縁体」とがあり、半導体はその中間の性質を備えた物質です。

半導体に最も多く使われている素材はシリコン(元素記号Si)です。

シリコンは日本語ではケイ素と呼ばれ、地球上で酸素の次に多い元素で多くは土壌や岩石に存在しています。

自然界に存在するシリコンは不純物(酸素・アルミニウム・マグネシウム)などの不純物が含まれているため、それらを取り除き高純度のシリコンを生成する必要があります。

 

【半導体って何に使われているの?】

パソコンを動かすCPUは半導体です。

また、エアコンの温度センサーは半導体でできています。

そのほかスマートフォン・デジカメ・テレビ・洗濯機・冷蔵庫など様々なデジタル家電に半導体は使われています。

 

エネルギー・環境関連装置

SiCウェハ、透明ウェハ欠陥検査/レビュー装置です。

従来検出できなかった基板上の各種結晶欠陥やナノサイズの浅い凹みのキズなどの検出を可能とし、量産用にも対応。

歩留まり向上 に貢献しています。

 

FPD関連装置

FPDフォトマスクの欠陥検査装置です。FPDの技術革新を支える最先端のFPDフォトマスク検査装置を提供しています。

 

レーザー顕微鏡

半導体材料、透明膜、コーティング材料、無機/有機材料、各種バイオ系試料、金属部品、プラスチック加工部品など、幅広い産業分野における研究開発、品質管理に活用されています。

 

■レーザーテックの財務諸表から見るビジネスの特徴

1:固定資産が少ない → 委託生産している

貸借対照表(B/S)の資産側を見ると、製造業にもかかわらず固定資産が少ないことが分かります。

 

これは、自社ではあまり製造しておらず多くを委託していることが読み取れます。

実際に有価証券報告書を見ると、「より研究開発に特化した組織体制とするためにファブライト戦略をとり、製品製造の多くを協力会社に委託しています」との記載があり当該記載とB/Sが整合しています。

また、売上原価明細書をみると業務委託料という勘定科目があり、これが協力会社への委託料であると思われます。

2:製品勘定がない → 受注生産形式

貸借対照表(B/S)の資産側を見ると、製品勘定がないことがわかります。

また、売上原価明細書の脚注をみると、原価計算の方法として個別原価計算であることがわかります。

以上のことから、レーザーテックは見込生産ではなく受注生産をしていると考えられます。

受注生産であれば、各在庫は受注に紐づいていますので在庫滞留リスクはありません。

 

3:多額の前受金 → 得意先から先に販売代金をもらっている

貸借対照表(B/S)の負債側を見ると、前受金が多額に計上されていることがわかります。

また、キャッシュ・フロー計算書をみると営業活動によるキャッシュ・フローの項目に「前受金の増減額」があることがわかります。

さらに決算説明資料をみると「受注の増加に伴い、仕掛品及び前受金が増加」との記載があります。

以上のことから、この多額の前受金は営業活動により生じているもの、つまり得意先からの販売代金を先に受け取っているものと考えられます。

おそらく、レーザーテックが他社では作れない技術力の高い製品を生産しているため、得意先がその生産を遅らせないために資金的な援助をしているものと
考えられます。

 

4:借入金がない → 資金に余裕がある

貸借対照表(B/S)の負債側を見ると、借入金がないことがわかります。

これは以下の要因が考えられます。

①製品製造の多くを協力会社に委託していることから、設備投資にそこまでお金がかからない

②得意先がその生産を遅らせないために資金的な援助をしている(前受金)

③受注生産であるため、在庫を大量に保有する必要がない

 

■レーザーテックの強み

強みはこの2点です。

1:自社が高いシェアをとれる市場の発見力の高さ

レーザーテックは自社の光応用技術を生かせる分野を見つけ、その市場で高いシェアをとる戦略をとっています。

製品によっては100%のシェアをとっているものもあり、STP(セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング)マーケティングに長けているといえます。

 

2:高い技術力

レーザーテックは理系人材を定期採用し、高い技術力を保持しています。

この高い技術力がシェア100%の製品を生み出す原動力となっています。

 

■レーザーテックの年収

上記■レーザーテックの強みで記載した「高い技術力」を保持するためには優秀な人材を確保し、その流出を防ぐ必要があります。

この点、レーザーテックでは従業員に高い給与を支払いその成果に報いています。

この10年連続して平均年収は増加しており、直近年度の平均年収は1,310万円と高い水準となっています。

従業員数 平均年齢 勤続年数 年収
2020年 288人 42.3歳 10.6年 1310万8017円
2019年 254人 42.7歳 11.2年 1137万5614円
2018年 232人 43.2歳 11.7年 1112万9756円
2017年 208人 44.0歳 12.4年 1048万6225円
2016年 196人 43.8歳 12.2年 1028万2711円
2015年 190人 43.4歳 11.9年 1038万128円
2014年 193人 43.1歳 11.4年 916万1317円
2013年 189人 42.7歳 10.8年 911万3183円
2012年 187人 42.3歳 10.1年 916万7508円
2011年 188人 41.8歳 9.6年 884万3873円
2010年 196人 41.8歳 8.7年 786万7435円
2009年 204人 40.5歳 7.2年 822万6455円

■レーザーテックの弱み

直近年度の有価証券報告書の「事業等のリスク」から特にリスクが高いと思われるものを抜粋して記載します。

1 半導体市場変動の影響:予期せぬ急激な需要縮小により顧客の設備投資の凍結や先送りがあった場合はその影響を大きく受けてしまいます。

2 研究開発による影響:高い技術力を背景に業績を伸ばしてきているため、これが継続できるかがポイントになります。

3 重要な人材の確保:高い技術力は優秀な人材を確保し、その流出を防ぐ必要があります。それができなくなると競争力を失うことになります。

4 特殊な部品/材料仕入:光源や光学部品の一部には簡単に代替できないものがあります。仕入先からのこれらの部材の供給が滞った場合には、研究開発や生産に影響が出ます。

 

■レーザーテックの今後

半導体事業は中長期的には技術革新が進み成長が期待できる市場です。

そのため、その成長にそった事業運営ができればレーザーテックも大きく成長していくものと思われます。

特に高いシェアをとれる製品を今後も開発することができるかという点は見るべきポイントだろうと思います。

 

 

 

 

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