経営

SCP理論をベースにした戦略フレームワークを本質的に理解しよう

今回の経営学の教養のテーマは、前回のSCP理論からの続きで「SCP理論をベースにした戦略フレームワーク」についてです。

SCP理論をベースにした戦略フレームワークはMBAや経営学の教科書でよく登場しますが、形式的な理解にとどまり、なかなか本質的な理解が難しい分野です。

そこで、SCP理論からどのように落としこまれたフレームワークなのかを理解し、より本質をとらえたフレームワークの使い方ができるようになることを目指します。

このテーマについて教えてくれるのは、入山章栄(いりやま あきえ)さん著書の「世界標準の経営理論」の第2章「SCP理論をベースにした戦略フレームワーク」の部分です。  

本章は他の章と異なり、理論ではなく「フレームワーク」を紹介しています。

それは、テクニック的に理解するだけでなくフレームワークの基盤であるSCPとの関連性を理解することにより「要はこういうことだ」という感覚を備えることが大事だと筆者は考えているからだそうです。

では、早速内容の要約を行ってみましょう。

 

【要約】「世界標準の経営理論」 第2章「SCP理論をベースにした戦略フレームワーク」

この章ではポーターのSCPフレームワークを取り上げます。

ポイントは第1章「SCP理論」で取り上げたように、いかに完全競争の条件1~3を崩し独占に近づけていくかということです。

※ 完全競争の条件

条件1-市場に少数の小さな企業がいて、どの企業も市場価格に影響を与えられない

条件2-その市場に他企業が新しく参入する際の障壁がない。その市場から撤退する障壁もない

条件3-企業の提供する製品・サービスが同業他社と同質である

【1.ファイブ・フォース】

・潜在的な新規参入企業:参入障壁が低いと、既存企業が高い収益を上げても新規企業が参入してそれを奪われる。

・同業他社との競合関係:企業の競合度合いが熾烈な産業ほど収益性は低下する

・顧客:顧客が自社製品から他社製品に取り換えやすい産業ほど収益性が低下する

・売り手:自社が売り手(サプライヤー・ベンダーなど)を選べない立場のとき、売り手の交渉力は強くなり収益性は低くなる

・代替品:代替品が豊富な産業ほど収益性が低下する。  

 

【2.ジェネリック戦略】

ジェネリック戦略とは、自社が業界内でとっている「ポジショニング」を検討するフレームワークであり、大別すると以下の2種類に分類されます。

①コスト主導戦略:低価格で市場シェア拡大を図る

②差別化戦略:他社と異なる製品・サービスの提供を追及する コスト主導戦略と差別化戦略のどちらを選択すべきかという問題に対しては、「他の条件を一定とすれば差別化戦略が望ましいが、コストで圧倒的に勝てるのであればコスト主導戦略も追及する価値がある」という回答になります。

また、両者の戦略を同時に追求することは難しいとされています。

 

<SCPフレームワークの限界>

1:SCPは古典的な経済学に立脚しており、「市場構造を規定する条件が与えられれば、最終的に均衡状態になる」と考えています。

しかし、現代のような競争環境が著しく変わる環境下においては均衡状態が定まりにくく、SCPモデルは適用しにくくなります。

2:SCPは古典的な経済学に立脚しており、「人間は合理的で、認知バイアスに影響されない」と考えますが、意思決定者の認知・心理面が強く影響する場合には齟齬をきたす可能性があります。  

 

SCPフレームワークの限界を知って、完全競争を崩すための戦略を考えよう

SCPフレームワークには一定の限界があることが理解できました。

その限界を理解した上でフレームワークを使う必要があります。

また、完全競争の条件を崩し差別化戦略をとることで競争優位を獲得できるというポイントはしっかり認識しておきたいと思います。  

 

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