経営

取引費用理論から事業の興しやすさを考える

この記事では、取引費用理論(TCE:Transaction Cost Theory)を解説していきます。

取引費用理論は経営学の理論の一つで、取引コストから企業の在り方を検討する理論です。

IT化が進展したこの現代において、どのような企業の在り方が求められるのか、また事業を興すことに適しているのかという点について考えてみたいと思います。

取引費用理論について教えてくれるのは、入山章栄(いりやま あきえ)さん著書の「世界標準の経営理論」の第7章「取引費用理論(TCE)」の部分です。

 

では、内容の要約を行って「取引費用理論」について理解していきましょう。

 

■取引費用理論とは

取引費用理論とは、取引で発生するコストを最小化する形態及びガバナンスを見出そうする理論です。

ここでいうガバナンスとは「市場取引か内製化か」の選択のことです。

取引費用理論でよく引き合いに出される例として米自動車メーカーのゼネラルモーターズ(GM)と部品メーカーのフィッシャーボディーの取引事例があります。

 

GMとフィッシャーボディーの取引事例

1919年、GMは米国を代表する自動車メーカーで当時有力サプライヤーだったフィッシャーボディとの間で、「フィッシャーボディが設備投資をしてくれたら、今後10年は車体を同社以外からは受注しない」とい う専売契約を結びました。

この専売契約によって、フィッシャーボディは設備を導入しGMヘ車体の供給が始まりました。

その後、米国の自動車需要はGMの想定外に急上昇

GMはフィッシャーボディに車体の大量発注を申し出ました。大量発注をすれば規模の経済効果でコストダウンが可能だろうから、車体価格の値下げをGMは期待 しました。

しかし、急激な需要変化での価格対応について、GMとフィッシャーボディの間で明快な取り決めが契約でなされておらず、さらにGMがフィッシャーボディ以外に車体供給先を見つけられなかったこと から値下げは実現せず、GMはフィッシャーボディから高価な車体を購入し続けるしかありませんでした

このGMが陥った状況を、経済学・経営学では「ホールドアップ問題」といいます。

事態を重く見たGMは1926年にフィッシャーボディを買収し、内部化の決断を行いました。

 

■「市場取引か内製化か」の判断

上記のGMとフィッシャーボディーの取引事例を踏まえると、以下の命題が導けます。

 

市場のビジネス取引において、①不測事態の予測困難性、②取引の複雑性、③資産特殊性、の3条件が高いときは、市場での「取引コスト」がかかりすぎるので、取引相手のビジネスを買収して内製化するべき

 

GMとフィッシャーボディーの例をあてはめてみると、

①不測事態の予測困難性:当時の米国は木製の車体から鉄製の車体への転換期であり、需要の急上昇を予測できなかった

②取引の複雑性:当時目新しく複雑なプレス技術をつかった車体取引であった

③資産特殊性:GMにとって不可欠な技術・ノウハウがフィッシャーボディーに蓄積されていった

となり、内製化するべきだという結論に至ります。

 

■現代は事業を興すことに適している

世界的にみると、取引コストはITの進展により低下しています。ITにより様々な市場取引や契約がグローバルに、しかも短時間で行えるようになっています。

Uber・Airbnbなど創業間もなく世界展開を行う企業が登場しているのがその証拠です。

このように考えると、現代はさまざまな事業を抱えこむ巨大コングロマリット企業よりも、小さくて身動きの軽い企業のほうが有利であるといえます。

事業を興すという点で考えると、以前より良い条件が整っているといえます。

 

■まとめ

日本は諸外国と比較して起業家の割合が少ないといわれています。

2016年に中小企業庁が発表した中小企業白書によれば、日本の1年間の開業率は4〜5%で推移しており、これはアメリカやイギリスに比べると半分に過ぎません。

しかし、IT化が進展したこの現代は、世界的に取引コストが低下していることから事業を興すことに適している環境が整っているといえます。

私は現時点では起業しようという考えはないですが、起業しようと思う方の支援をしたいと思っています。

 

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