現在自動運転の技術開発は非常に活発なものとなっており、私たちの生活を大きく変えようとしています。
そこで、今後登場するであろう完全自動運転車が実用化されたときに、どのような未来となっているのかについて、現在の自動運転の開発状況を確認しながら考えてみたいと思います。
目次
■自動運転のレベル分けについて
国土交通省の資料によると、自動運転車のレベル分けは以下のようになっています。
レベル1:運転支援(システムが前後・左右いずれかの車両制御を実施)
例:自動ブレーキ、前の車について走る、車線からはみ出さない
レベル2:高度な運転支援(システムが前後及び左右の車両制御を実施)
例:高速道路において
①車線を維持しながら前の車に付いて走る
②遅い車がいればウインカー等の操作により自動で追い越す
③高速度悪露の分合流を自動で行う
レベル3:特定条件下における自動運転
(特定条件下とは、場所(高速道路のみ等、天候(晴れのみ等)、速度など自動運転が可能な条件)
レベル4:特定条件下における完全自動運転
レベル5:完全自動運転
■自動運転車の現在
この記事を執筆している現在(2020年11月)現在では、レベル3の車が実用化されています。
ホンダのレジェンドという車が世界で初めてレベル3の型式指定を受けています。
自動運転装置の名前はトラフィックジャムパイロット(TJP)といい、高速道路本線上での渋滞時の自動運転を実施するものです。
リンク先:国土交通省 報道発表資料 「世界初!自動運転車(レベル3)の型式指定を行いました」 2020年11月11日
ホンダのHPによるとレジェンドの価格(全国メーカー希望小売価格)は724万円となっています。
■大手自動車メーカーの自動運転車の開発状況
トヨタ
トヨタは、2020年初冬発売予定のレクサスの新型LSにハンズフリー運転を可能とする高度な自動運転レベル2を搭載する予定です。
今のところレベル3に関する公式発表は行っておりません。
日産
日産自動車は2020年10月現在、「自動運転レベル2」の技術を市販車に搭載しています。
「プロパイロット2.0」という名称で、高速道路でのハンズオフ運転を可能にする機能です。
2019年9月から搭載がスタートしています。
今のところレベル3に関する公式発表は行っておりません。
テスラ
電気自動車の開発を手掛けるテスラは、自動運転レベル2を搭載する「モデルX」を販売しています。
レベル3搭載の車両の販売時期については公表していません。
■Googleの自動運転車の開発状況
Googleの自動運転車開発部門は現在、ウェイモ(Waymo)としてGoogleの親会社の米アルファベット社の子会社となっています。
そのウェイモは2018年12月、完全無人車両での自動運転配車サービスをアメリカアリゾナ州フェニックスで開始しました。
完全無人のサービスは、フェニックス周辺の約130平メートル圏内で運用されています。
タクシー自体はウェイモ製ではありませんが、システムはウェイモ独自のものを使用しています。
法律上ドライバーが同乗していますが、自動運転レベルは4に達しているということです。
■完全自動運転(レベル5)はいつから?
これまで見てきたように、2020年11月現在ではレベル3(特定条件下における自動運転)が実用化された状況であり完全自動運転の実用化はまだ時間がかかりそうです。
ちなみに2018年に EU(欧州連合)の欧州委員会は2030年代までに完全自動運転を実現するための工程表(ロードマップ)を発表しています。
工程表によると、2020年代に都市部での低速自動走行を実用化し、2030年代までに完全自動運転が標準となる社会を目指すとしています。
■完全自動運転車(レベル5)が実用化された未来はどんなもの?
車が自分で運転するようになるとどのようなことが起こるのか考えてみたいと思います。
①自分の車で寝てる間に移動できる
自動運転の車があれば、移動しながら宿泊することができます。
現在の夜行高速バスのように夜出発して朝出張先に着くということがドライバーなしで可能になります。
②不動産価格の変化
現在は、駅近くの物件は利便性の観点から不動産価格が高い傾向にありますが、完全自動運転車があればその利便性の問題の重要性は小さくなります。
そのため、これまで価値がなかった駅遠の物件価値の価格が「人が少ない」・「景観がよい」等の理由で再評価され、価格が上昇することが考えられます。
③家を持たない人が増える
完全自動運転車があれば、いつでもドライバーを必要とせず移動することができます。
その完全自動運転車に今のキャンピングカーのような機能を付加させることで、暮らしの全てを完全自動運転車内で済ませる人が出てきてもおかしくありません。
そのため、家を持たない人が増える可能性が考えられます。