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2021年4月1日からの総額表示義務により、消費税分の値下げが起こる理由

 

2021年4月1日から消費税込みの総額表示が義務化

2021年の4月1日から、お店に並ぶ商品や飲食店のメニューに表示される価格がすべて「総額表示」に変更されます。

具体的には以下ツイートをご覧ください。

 

なんで今になって総額表示が義務化されたの?

これは、二度にわたる消費税率の引き上げの影響です。

実はこの総額表示の義務は以前から施行されていたんです。

でも、2013年10月1日~2021年3月31日の間は特例(消費税転嫁対策特別措置法)として、税別価格であることがわかる表記になっていれば、税込価格の表示は不要としていました。

消費税率が変更されると、お店側はレジの設定変更など作業が必要になりますよね。

総額表示の義務がでてくると、値札を書き換えたり広告を差し替えたりする必要が生じ、お店側にとって大きな痛手です。

そのため、2021年3月31日までの猶予期間が定められたのです。

 

総額表示の対象となる取引は?

国税庁のHPによると、以下のように記載されています。

消費者に対して、商品の販売、役務の提供などを行う場合、いわゆる小売段階の価格表示をするときには総額表示が義務付けられます。
事業者間での取引は総額表示義務の対象とはなりません。

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6902.htm

 

総額表示義務により、消費税分の値下げが起こる

この総額表示義務ですが、払う金額は変わらないですが「値上がり感」がありませんか?

事実、ファーストリテイリングはユニクロとジーユーで全ての商品価格を税込価格に変更して、約9%の値下げを行いました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210304/k10012897291000.html

 

なぜファーストリテイリングがこのような措置を行ったのでしょう。

それは、総額表示による「値上がり感」により、売上数量が減少することを恐れたためです。

また、NTTドコモが今月下旬に導入するデータ使用量が20ギガバイトのプランについて、ほかの大手に対抗するため税込みで月額3000円を下回る料金に値下げするなど義務化を前提にした価格戦略が相次いでいます。

前:2,980円(税込3,278円)

後:2,700円(税込2,970円)

 

行動経済学で、「端数価格」と「威光価格」という考え方があります。

例えば、1,980円と2,000円では20円しか変わらないけど、1,980円はかなり安く感じます。

これは、私たちは価格を上の桁の数字から読んでいくからです。

なので、1,980円は、ほぼ2,000円ですが千円台という印象が強く残り、安く感じてしまうのです。

この1,980円のことを「端数価格」と言います。

 

一方、ブランド品など高級感を出したい場合には、この「端数価格」は使われません。

安っぽいイメージを与えてしまうからです。

高級感を出したい場合には「10万円」などのキリのよい数字がよいとされます。

この「10万円」などのキリのよい数字のことを「威光価格」と呼びます。

 

このことを踏まえると、小売業では総額表示による「値上がり感」による「売上減少」を恐れ、ファーストリテイリングが行ったような値下げを行う企業が多く現れると予想されます。

 

価格戦略が今後の企業業績を左右する

このように、総額表示義務は私たちの経済活動に大きな影響を与えます。

今後各企業がどのような戦略をとるのか、ニュースが楽しみです。

 

 

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